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author Takahiro SHIMIZU <anatofuz@cr.ie.u-ryukyu.ac.jp>
date Wed, 17 Apr 2019 19:03:18 +0900
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title: Perl6の内部表現
author: Takahiro Shimizu
profile:
lang: Japanese

## このセッションの内容

- Perl6の主要な実装であるRakudoの内部構造を探ります
- Rakudoの内部で利用されているVMや, Perl6のサブセットなどについて探索します
- スクリプト言語で主に使われているバイトコードインタプリタの気持ちになります

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## Perl6とは
- 当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語
- 仕様と実装が分離しており, 現在はテストが仕様となっている
- 実装は複数存在しているが,現在主流な実装はRakudoとなっている
- 言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語となっている
- MoarVM, JVMで動作する

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## Perl6のソースコード概要

- Perl5の文法とは比較的変更が多い
- 変数がオブジェクトと化した事により, 変数からsayメソッドを呼ぶことが可能

```
my $str_value = 'hello world!';
$str_value.say; # hello world!
```

- Perl5と同様に,変数にはデフォルトでは型がないような振る舞いをする

```
my $sample_value = 'hello world!';
$sample_value.say; # hello world!

$sample_value = '31';
$sample_value.say; # 31

say($sample_value * 3);
```

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## Perl6の言語的な特徴

- 漸進的型付き言語である為, 型を強制することも可能となる

```
my Int $int_value  = 31;
$int_value = "hello"; # Compile error!
```

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## Perl6の言語的な特徴

- 型を独自に定義することも可能
- 入力の型によって実行する関数を変える事などができる

```perl6
my subset Fizz of Int where * %% 3;
my subset Buzz of Int where * %% 5;
my subset FizzBuzz of Int where Fizz&Buzz;
my subset Number of Int where none Fizz|Buzz;

proto sub fizzbuzz ($) { * }
multi sub fizzbuzz (FizzBuzz) { "FuzzBuzz" }
multi sub fizzbuzz (Fizz) { "Fizz" }
multi sub fizzbuzz (Buzz) { "Buzz" }
multi sub fizzbuzz (Number $number) { $number }

fizzbuzz($_).say for 1..15;
```

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## Perl6の処理系の構成

- Perl6の処理系は現在はRakudoと呼ばれる(歴史上複数存在する)
- Rakudoは3つのレイヤーから構成されている
    - Perl6インタプリタ
    - Perl6インタプリタを記述するPerl6のサブセットNQP
    - Perl6のバイトコードを解釈するMoarVM
- このうちPerl6インタプリタとNQPはNQP自身で記述されている
- MoarVMはC言語で記述されている

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## Perl6とNQP

- NQP(NotQuitPerl Perlっぽい別の言語)でRakudoを記述している
- NQPもNQPで記述されている為、 セルフビルド(自分自身で自分自身をコンパイルする)を行う
- NQPはPerl6の文法をベースにしているが、 制約がいくつか存在する

```
#! nqp
sub fib($n) {
    $n < 2 ?? $n !! fib($n-1) + fib($n - 2);
}

my $N := 29;

my $t0 := nqp::time_n();
my $z  := fib($N);
my $t1 := nqp::time_n();

nqp::say("fib($N) = " ~ fib($N));
nqp::say("time    = " ~ ($t1-$t0));
```

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## バイトコード
- 最近のスクリプト言語は、 ソースコードを直接解釈せず、バイトコードに変換する
    - 主に速度改善が目的となっている
- Perl6も、Rakudo/NQPはバイトコードに変換され、 バイトコードをVMが実行する
- バイトコード実行部分は、 命令に対応するバイト列を読み込み、 解釈し、 次の命令を読み取ることを繰り返す