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author sugi
date Thu, 29 Jan 2015 17:04:28 +0900
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\chapter{分散フレームワーク Alice の概要} \label{chapter:chapter1}

\section{Data SegmentとCode Segment}\label{subsection:computation}
AliceはデータをData Segment、タスクをCode Segmentという単位に分割してプログラミングを行なう。
Code SegmentはInput Data SegmentとOutput Data Segmentを持つ(図 \ref{fig:dsandcs})。Input Data SegmentはそのCode Segmentを実行するために必要なデータ群であり、Output Data SegmentはCode Segmentが計算を行った結果を格納するデータ群である。


Data SegmentはAliceが内部にもつデータベースによって管理されている。
Input Data Segmentを取得する際とOutput Data Segmentを保存する際にデータベースに通信を行う。
取得するData SegmentはData Segmentに対して一意であるKEYを用いて指定する。
Input Data Segmentの取得に失敗した場合、Code SegmentはDatabaseでData Segmentの待ち合わせを行う。
Input Data Segmentが揃った場合にCode Segmentは実行される。


\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=100mm]{images/dsandcs.pdf}
\end{center}
\caption{Code SegmentはInput Data Segment とOutput Data Segmentが存在する}
\label{fig:dsandcs}
\end{figure}

Code Segmentに依存するデータ群であると出力されるデータ群を記述することにより、Code Segmentが実行される順番が決定される(図 \ref{fig:dsandcs2})。データの依存関係にないCode Segmentは並列実行が可能であるため、並列度を上げるためにはCode Segmentの処理内容を細かく分割して依存するデータを少なくするのが望ましい。


\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=110mm]{images/dsandcs2.pdf}
\end{center}
\caption{Input Data Segment とOut put Data SegmentがCode Segment間の依存関係を自動的に記述する}
\label{fig:dsandcs2}
\end{figure}

\section{ComputationとMeta Computation}
AliceのComputationは\ref{subsection:computation}で示したように、keyで指し示されるData Segmentを待ち合わせてCode Segmentを実行させるというものである。アプリケーションを作成するためにはアルゴリズムをAliceのComputationで表現する必要がある。

また、アプリケーションでAliceのComputationを設定するComputationを利用することができる。このComputationをMeta Computationと呼ぶ。

例えば、Aliceのトポロジーと再接続の管理はMeta Computationとみなすことができる。
Code Segment単位ではトポロジーや切断を想定せずにアプリケーションを記述することができる。
トポロジーのMeta Computationを利用することで、トポロジーが2分木からn分木に変わってもアプリケーションは動く。
再接続のMeta Computationを利用すれば、アプリケーションはノードが再接続してきた場合でも、切断してないノードと同様に動かすことができる。


\section{Aliceの実装}
ここではAliceがどのように実装されているかを説明する。
\section{Data Segment}
Data Segmentは数値や文字列などのデータを構造的に保持する。AliceはData Segmentをデータベースとして扱っている。Data Segmentには必ず対になるKeyが存在する。つまりKey Value Storeとして考える事ができる。

Aliceのデータベースは通常のKVSとは異なっている点がある。通常のKVSはプログラミング言語の連想配列やMapと同様に 「Key(キー)」と「Value(値)」がペアとなっている。そのため1つのKeyに対して値は1つである。しかし、Aliceの場合は「Key」と「Queue」がペアとなっているため、Keyに対して複数回putできる。従って取得できるValueも複数存在する。

Data SegmentはData Segment Manager(以下DSM)によって管理されている。ノード毎にLocal DSMとRemote DSMが存在する。Local DSMは各ノード固有のKVSとなっている。従ってRemote DSMを指定するKeyはノード内部でuniqueなものである。Remote DSMは他のノードのLocal DSMのproxyと考えられる。つまりRemote DSMは複数存在し、それぞれに対応するノードは異なる。

\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics{images/remote_datasegment.pdf}
\end{center}
\caption{Remote DSMは他のノードのLocal DSMのproxy }
\label{fig:RemoteDSM}
\end{figure}

KVSへのアクセスはqueueによって、ノード内部で逐次化される。それ以外は、すべてJavaのThread Poolにより並列実行される。
\subsubsection{Data Segment の表現}
Data Segmentの表現にはMessage Packを利用している。Message Packに関してJavaにおけるデータ表現は以下の3種類があり、制限を伴うが互いに変換可能である。
\begin{itemize}
\item {\ttfamily 一般的なJavaのクラスオブジェクト}
\item {\ttfamily MessagePack for JavaのValueオブジェクト}
\item {\ttfamily byte[]で表現されたbinary}
\end{itemize}

Data Segment APIの内部においてデータは、一般的なJavaのクラスオブジェクトまたはbyteArrayで表現されたbinaryで表現されている。
Localからデータがputされた場合は一般的なJavaのクラスオブジェクトの状態でenqueueされる。RemoteからデータがputされるとbyteArrayで表現されたbinaryの状態でenqueueされる。

ユーザーが一般的なクラスをIDL(Interface Definition Language)のように用いてデータを表現することができる。
この場合、クラス宣言時に@Messageというアノテーションをつける必要がある。もちろん、MessagePackで扱うことのできるデータのみをフィールドに入れなければならない。

Remoteに対してputできるデータは、@MessageをもつクラスオブジェクトかMessage Packで扱える型に限られる。

\subsubsection{Data Segment API}
\section{Code Segment}
Code SegmentとはAlice上で実行されるタスクの単位である。ユーザーはCode Segmentを組み合わせることでプログラミングを行う。Code Segmentをユーザーが記述する際に、内部で使用するData Segmentの作成を記述する。

Input Data Segment と Output Data SegmentはCode Segmentに用意されているAPIを用いて作成する。
Input Data Segmentは、LocalかRemoteか、またkeyを指定する必要がある。Code Segmentは、記述したInput Data Segmentが全て揃うとThread poolに送られ、実行される。

Output Data SegmentもLocalかRemoteか、またkeyを指定する必要がある。
Inputの場合はsetKeyを呼ぶ際、Outputの場合はput(またはupdate)の際にノードとkeyの指定を行っている。
しかし、どの時点でノードとkeyの指定を行えばよいか、どのようなAPIを用意するべきかは、議論の余地がある。


\subsection{Code Segmentの実行方法}
Alice には、Start Code Segment (ソースコード \ref{src:StartCodeSegment})というC の main に相当するような最初に実行される Code Segment がある。
\begin{table}[html]
\lstinputlisting[label=src:StartCodeSegment, caption=StartCodeSegmentの例]{source/StartCodeSegment.java}
\end{table}

Start Code SegmentはどのData Segmentにも依存しない。つまりInput Data Segmentを持たない。
このCode Segmentをmainメソッド内でnewし、executeメソッドを呼ぶことで実行を開始させることができる。


\subsection{Code Segmentの記述方法}
Code Segmentをユーザーが記述する際にはCode Segmentを継承して記述する(ソースコード \ref{src:CodeSegment})。
Code SegmentはInput/Output Data Segment Managerを利用することができる。

Input DSM はCode Segmentの{\tt ids}というフィールドを用いてアクセスする。

\begin{table}[html]
\lstinputlisting[label=src:CodeSegment, caption=CodeSegmentの例]{source/TestCodeSegment.java}
\end{table}

\begin{itemize}
\item {\ttfamily Receiver create(CommandType type)}
\end{itemize}
createでコマンドが実行された際に取得されるData Segmentが格納される受け皿を作る。引数にはCommandTypeが取られ、指定できるCommandTypeは{\tt PEEK}または{\tt TAKE}である。
\begin{itemize}
\item \verb+void setKey(String managerKey, String key)+
\end{itemize}
setKeyメソッドにより、どこのData Segmentのあるkeyに対してpeekまたはtakeコマンドを実行させるかを指定することができる。
コマンドの結果がレスポンスとして届き次第Code Segmentは実行される。

Output DSMはCode Segmentの{\tt ods}というフィールドを用いてアクセスする。
Output DSMは{\tt put}または{\tt update}を実行することができる。
\begin{itemize}
\item \verb+void put(String managerKey, String key, Object val)+
\item \verb+void update(String managerKey, String key, Object val)+
\end{itemize}

%
\subsection{Meta Data Segment}
%
\subsection{Meta Code Segment}

\subsection{Topology Manager}
Aliceは複数のノードで構成され、相互に接続される。通信するノードはURLにより直接指定するのではなくTopology Managerで管理する。
Topology Managerはトポロジーファイルを読み込み、参加を表明したクライアント(以下、Topology Node)に接続するべきTopology NodeのIPアドレス、ポート番号、接続名を送りトポロジーファイルに記述されたとおりにトポロジーを作成する。(図\ref{fig:topologymanager})

\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=70mm]{images/topologymanager.pdf}
\end{center}
\caption{Topology Manager はトポロジーファイルの記述に従ってトポロジーを生成する}
\label{fig:topologymanager}
\end{figure}

Code Segment内部でRemote DSMにアクセスする場合はToplogyManagerによって指定されたノード内部だけで有効なlabel(文字列)を使う。これにより特定のURLがCode Segment内部に記述されることを防いでいる。

トポロジーファイルはグラフ構造を表現するデータ記述する言語の一種であるDOT Languageと呼ばれる言語で記述する。また、dotコマンドを用いてトポロジーファイルを可視化することができる。

\subsubsection{Topology Managerの参加表明処理}
Topology Managerへの参加表明は、Topology Node起動時にコマンドライン引数からTopology ManagerのIPアドレスとポート番号を指定すればよい。
指定されたTopology Managerに接続を行うと、Topology Manager側のキー"hosts"に、自分自身のIPアドレスとポート番号をputする。

参加表明を受け取ったTopology Managerは、抽象名を参加表明したTopology Nodeのキー"host"にputする。
その後、Topology Manager上のTopology Node名のキーに、接続すべきTopology Nodeの情報(IP アドレス、ポート番号等)を全てputする。Topology Nodeは、その情報を1つずつTakeし接続処理を行う。全ての接続処理が終わるとTopology ManagerからTopology Nodeに対してStart Code Segmentの実行命令が出され、アプリケーションが開始される。

\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=120mm]{images/topologymanagerandnode.pdf}
\end{center}
\caption{Topology ManagerとTopology Node間の通信}
\label{fig:topologymanagerandnode}
\end{figure}


\section{Aliceによるプログラミング手法}
AliceはCode SegmentとData Segmentによってプログラミングを行う。Code Segmentから別にCode SegmentへData Segmentを引き渡す際、コンストラクタは使わない。Code SegmentがLocal / Remote Data Segmentに対してputを行い、別のCode SegmentがLocal / Remote Data Segmentに対してpeekを行うことで引き渡される。つまり、Code Segmentは実行前後にデータベースへ通信が行われるのである。この通信の順序がCode Segmentの実行順序を決定している。
すなわち、Aliceによるプログラミングとは通信の管理を行うことであり、プロトコルを設計することと捉える事ができる。