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author Yuhi TOMARI <yuhi@cr.ie.u-ryukyu.ac.jp>
date Mon, 23 Feb 2015 19:12:19 +0900
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\chapter{マルチプラットフォームな\\フレームワークにおける\\並列プログラミング}
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 プログラムが PC に要求する処理性能は上がってきているが、
消費電力・発熱・クロックの限界から、 CPU の性能を上げることによる処理性能の向上は難しい。
プロセッサメーカーはマルチコア CPU や GPU を含むヘテロジニアス構成の路線を打ち出している。
クロックの性能を上げるのではなく、コア数を増やすことでパフォーマンスを向上させている。

マルチコア CPU や GPU といった、マルチプラットフォームなアーキテクチャ上でリソースを有効活用するには、
それぞれのプラットフォームに対して最適な形でプログラムを並列に動作させる必要がある。
ここでいう最適な形とは、実行の順番やどのリソース上で Task を実行するかといった、
Scheduling を含めたチューニングの事である。

しかし、これらのチューニングは複雑で、コーディング時に毎回行うと煩雑さや拡張性の点で問題がある。
このような問題を解決するため、本研究では並列プログラミングフレームワーク Cerium の開発を行った。
Cerium により、プラットフォーム間で統一的にコードを記述できる。
一般的なマルチプラットフォームフレームワークとして OpenCL や CUDA が挙げられるが、
これらと同等の並列度を維持したい。

Cerium では、Task という単位で処理を記述し、それらは並列に実行される。
プログラマが Task 間の依存関係を設定するとパイプラインが構成され、高い並列度で実行される。
プログラマが生成した Task は TaskManager に送信され、設定した依存関係の解決を行った後、 Scheduler に送信される。
Scheduler がパイプラインの機構を持っており、Task はそのパイプラインに沿って実行される。
Scheduler が受信した Task は、既に TaskManager が依存関係を解決しているため実行順序は任意で良い。

計算機において並列処理を行うための設計様式として、1つの命令を同時に複数のデータに適用し、並列に処理する方式がある。
これをSIMD と呼ぶ。
GPU や Cell といったヘテロジニアスなアーキテクチャでは、 SIMD 型が主流である。
Cerium は SIMD 型において高い並列度を維持するため、データ並列実行の機構を備えている。

Cerium においてプログラマは Task を記述し、Input データを用意した後はデータ並列用の API で Task を spawn するだけで
データ並列実行することができる。
TaskManager はプログラマが記述した単一の Task を複数生成し、
受け取ったデータ(Input/Output)に対しその Task を割り当てる。
生成した復数の Task を並列実行する事でデータ並列実行を実現した。
更に、Sort 、Word Count 、FFT の例題を元に、
Cerium の持つ並列実行機構がマルチプラットフォームにおける並列プログラミングで有効に作用する事を示す。