8
|
1 \chapter{これまでの学生向け VM 管理システム}
|
|
2 本章では 2015 年現在使用されている、琉球大学情報工学科 (以下本学科) の運用している 2 つの VM 管理システムについて述べる。
|
0
|
3
|
8
|
4 \section{VMWare ESXi}
|
|
5 VMWare が無償で配布している Hypervisor であり、計算機に直接インストールし使用することができる。現在本学科では VMWare ESXi を Hypervisor として VM を管理している。
|
|
6
|
|
7 \section{VMWare ESXi による VM 管理システム}
|
9
|
8 オンプレミスのブレードサーバで構成されており、VMWare ESXi で動作している VM を VMWare vSphere Client で管理している。図\ref{fig:iesystem} のように、VM の所有者はメールでシステム管理者へ使用 VM を増やす依頼を行い、ユーザは本学科の提供する Web サービスから VM を作成する。
|
0
|
9
|
|
10 \begin{figure}[htpb]
|
|
11 \begin{center}
|
|
12 \includegraphics[scale=0.7]{figures/ie_system.pdf}
|
8
|
13 \caption{本学科のシステム}
|
0
|
14 \label{fig:iesystem}
|
|
15 \end{center}
|
|
16 \end{figure}
|
|
17
|
8
|
18
|
|
19 \section{本学科の提供する Web サービス}
|
|
20 VM を操作するインターフェイスとして、VMWare の API を使った Web サービスを使用できる。
|
0
|
21
|
8
|
22 本学科のシステムでは、VM の操作は Web サービス実装を通して行う。VM の作成はメールなどの連絡手段を使って、管理者を通して行う。既成の VM をブレードサーバへアップロードするにも、管理者と連絡し手続きを取る。
|
0
|
23
|
9
|
24 Web サービスのポータル画面は図\ref{fig:ieportal}のようになる。本学科では IP アドレスもこの画面で配布している。
|
|
25
|
|
26 \begin{figure}[htpb]
|
|
27 \begin{center}
|
|
28 \includegraphics[scale=0.35]{images/ie_sc_portal.png}
|
|
29 \caption{本学科の Web サービス}
|
|
30 \label{fig:ieportal}
|
|
31 \end{center}
|
|
32 \end{figure}
|
|
33
|
|
34 VM を作成するためには、図\ref{fig:ieportal}の VM 新規作成をクリックする。クリックすると図\ref{fig:iemakevm}の画面に移る。図\ref{fig:iemakevm}で必要な情報をすべて入力し、「ok」をクリックすることによって VM を作成することができる。
|
|
35
|
|
36 \begin{figure}[htpb]
|
|
37 \begin{center}
|
|
38 \includegraphics[scale=0.35]{images/ie_sc_makevm.png}
|
|
39 \caption{Web サービスの VM 作成画面}
|
|
40 \label{fig:iemakevm}
|
|
41 \end{center}
|
|
42 \end{figure}
|
|
43
|
|
44 VM 作成後は VM を選択すると、図\ref{fig:ievmop} へ移り、VM を管理することができる。
|
|
45
|
|
46 \begin{figure}[htpb]
|
|
47 \begin{center}
|
|
48 \includegraphics[scale=0.35]{images/ie_sc_vmop.png}
|
|
49 \caption{Web サービスの VM 管理画面}
|
|
50 \label{fig:ievmop}
|
|
51 \end{center}
|
|
52 \end{figure}
|
|
53
|
|
54 管理画面で可能なことは、下記になる。
|
|
55
|
|
56 \begin{itemize}
|
|
57 \item 起動
|
|
58 \item 停止
|
|
59 \item サスペンド
|
|
60 \item 再起動
|
|
61 \item スタンバイ
|
|
62 \end{itemize}
|
|
63
|
7
|
64 \section{VMWare vSphere Client}
|
8
|
65 GUI で VM を操作することができ、豊富な機能と高度な操作が可能となっている。管理者は VMWare vSphere Client での管理を行っている。VM などの資源に対する操作の権限を細かく扱うことができるため、利用者に対して権限を配布することが可能である。しかし GUI が複雑なため、操作に習熟する必要がある。
|
|
66
|
|
67 また使用する OS が限定されており、主に Windows でのみ使用可能なため、Mac OS X を推奨している本学科では使用が困難である。
|
7
|
68
|
0
|
69 \section{Kernel based Virtual Machine (KVM)}
|
|
70
|
8
|
71 Linux 自体を VM の実行基盤として機能させるソフトウエアである。無償で利用可能なオープンソースとなっている。CPU の仮想化支援機能を必要とし、完全仮想化により仮想化環境を提供する Hypervisor である。
|
0
|
72
|
|
73 KVM は Linux のカーネルモジュールとして実装されており、OS が持つメモリ管理プロセスやスケジューリング機能を利用している。
|
|
74 アーキテクチャは図\ref{fig:kvmarch}のようになっている。
|
|
75
|
|
76 \begin{figure}[htpb]
|
|
77 \begin{center}
|
|
78 \includegraphics[scale=0.7]{figures/kvmarch.pdf}
|
|
79 \caption{KVM architecture}
|
|
80 \label{fig:kvmarch}
|
|
81 \end{center}
|
|
82 \end{figure}
|
|
83
|
|
84 Intel-VT や AMD-V などの仮想化支援機能を持つプロセッサや BIOS の載っている PC 上で動作する。
|
|
85
|
8
|
86 本学科のシステムは、KVM と VMWare ESXi の2つの Hypervisor を利用している。本学科全体の VM 管理は、主に VMWare ESXi が使われている。
|
0
|
87
|
|
88 \section{libvirt}
|
|
89 VM 管理ツールである virsh を含む、 VM の制御を抽象化したライブラリである。 VM の情報を習得・操作することが可能な API 群である。
|
|
90
|
|
91 \begin{figure}[htpb]
|
|
92 \begin{center}
|
|
93 \includegraphics[scale=0.7]{figures/libvirt_arch.pdf}
|
|
94 \caption{libvirt architecture}
|
|
95 \label{fig:libvirtarch}
|
|
96 \end{center}
|
|
97 \end{figure}
|
|
98
|
8
|
99 図\ref{fig:libvirtarch}のように、アプリケーションから libvirt API を呼び出すと、API に従って内部の VMM API もしくは資源管理 API を呼び出し、制御を行う。libvirt は VM の管理だけではなく、仮想ネットワーク、仮想ストレージも管理することができる。もともとは Xen に対して API を提供していたが、現在は多くの Hypervisor に対応している。
|
0
|
100
|
7
|
101 \section{virsh}
|
|
102 virsh は libvirt に付属する VM 管理コンソールである。libvirt の API で VM を制御することができる。VM の起動や停止、情報の表示、ゲストが接続しているネットワークやデバイスの管理をすることができる。
|
0
|
103
|
1
|
104 virsh をそのまま使用して複数のユーザを管理するためには、ユーザやグループの設定が必要である。またユーザやグループの設定を行ったとしても、ネットワークなどの操作をを制限することができない。
|
0
|
105
|
8
|
106 \section{ie-virsh}
|
0
|
107
|
8
|
108 virsh はグループの設定を行わない限り、root ユーザでのみ使用可能である。virsh を使う管理者以外のユーザ全てに root ユーザを使わせてしまうと、他のユーザに対しての不正な操作や、多量の資源取得、ネットワーク等の管理者がするべき操作を許してしまう。そのため ie-virsh の開発を行った。ie-virsh は virsh をラップすることで作成された VM 管理用のツールである。ie-virsh を使用することにより、他のアカウントの VM を操作させずに VM 所持者に操作させられる。
|
1
|
109
|
8
|
110 表\ref{table:ievirshfunc}が ie-virsh の機能である。
|
0
|
111
|
8
|
112 \begin{tiny}
|
|
113 \begin{table}[ht]
|
|
114 \begin{center}
|
|
115 \caption{ie-virsh のコマンド}
|
|
116 \label{table:ievirshfunc}
|
|
117 \small
|
|
118 \begin{tabular}[t]{c|l}
|
|
119 \hline
|
|
120 define & XML の template を元に domain を作成 \\
|
|
121 \hline
|
|
122 undefine & define で作成した domain を削除 \\
|
|
123 \hline
|
|
124 list & define で作成した domain を一覧表示 \\
|
|
125 \hline
|
|
126 start & 指定した domain 名の VM を起動 \\
|
|
127 \hline
|
|
128 destroy & 指定した domain 名の VM を停止 \\
|
|
129 \hline
|
|
130 dumpxml & domain の XML を参照 \\
|
|
131 \hline
|
|
132 debug & linux kernel のコードを gdb で読む\\
|
|
133 \hline
|
|
134 \end{tabular}
|
|
135 \end{center}
|
|
136 \end{table}
|
|
137 \end{tiny}
|
0
|
138
|
8
|
139 virsh ではネットワークやストレージの設定を行うことも可能である。しかし ie-virsh では管理者ではない使用者にはネットワークやストレージの設定ができないよう実装している。
|
|
140
|
|
141 また ie-virsh には virsh で使用できる、ネットワークの構成の操作などの管理者側がするべき操作はない。管理者でないアカウントでは操作できない。
|
0
|
142
|
8
|
143 \section{ie-virsh による OS 管理システム}
|
|
144
|
|
145 ie-virsh によって複数のユーザの VM 管理を行っている。
|
|
146
|
|
147 また本学科では Operating System という授業を提供している。この授業では OS について学ぶ一環として VM について学習し、課題を提出させる。課題では VM の環境を学生が設定し、本学科の持つブレードサーバ上に VM をアップロードし、プログラムの実装や計測を行う。ie-virsh による OS 管理システムを使用し、 VM のアップロードから計測までの課題を行わせた。
|